隣人は密かに笑う

千葉に越してきて一週間が経った。
色々忙しくてお隣さんに挨拶にいけないでいたのだが、そろそろ行かなければ、と思い、早起きして雨の中買い物に出かけた。
一週間も経ってからの挨拶に、幾らなんでも手ぶらはないだろう。


幸いそれほど雨足は強くなかったのだが、湿度が高いとやはり不快指数は高くなる。
とても暑く感じる。
じめじめしているのは苦手だ。
汗っかきの自分としては梅雨はすごく鬱陶しい。


そういえば、私は以前東北に住んでいたのだが、東北から関東に移ってきてから初めての夏は異様に暑く感じた。
当時は自分の体質が変わったのかと思っていたのだが、よくよく考えてみればそうではない。
ただ単純に東北より関東のほうが暑かったのだ。
一時期は本当に身体のどこかが可笑しくなったのではないかと疑っていた。
最近になってやっと気がついたのだが、気づいてしまうと何ともバカな事で迷っていたものだと笑えてくる。


いけない、話が逸れた。


とにかく、雨の中を歩くというのは少しの時間でも嫌になる。
何より濡れるのが嫌だ。
本当に鬱陶しい。
そんな思いをしながらようやく買い物を済ませた。
帰りも雨の中だ。


そして帰宅してすぐお隣を訪問した。
だが電気もついていないし妙に静かだ。
これは留守だ。
ここは一旦引いて、帰ってきた頃にまた来よう。


しばらくすると物音が。
どうやら帰ってきたようだ。
玄関脇の曇りガラス越しに中の様子を伺ってみたところ、どうやらいる。
人影が動いた。何やら物音もする。


呼び鈴を押す。
反応はない。
再び押す。
反応はない。
三度目を押す。
反応はない。
ノックしてみる。
こんにちはと言ってみる。
どれもこれも反応はない。


何でしょう。変人さんでしょうか。
暫く玄関前で待ってみたのだが先ほどとはうってかわって物音一つしなくなっていた。
折角雨の中買い物に出かけてこの仕打ちでは少々腹が立つ。
明日再挑戦してみて同じような結果であれば、買ってきたものは私のものだ。


このような隣人では先が思いやられる。
明日の報告まで少々お待ちを。
必ずお前の正体を暴き出してやるからな。

(不快指数高めの中の文章なので多少毒を含んでおります)