言葉・ことば・コトバ

「独壇場」って言葉あるじゃないですか。
辞書によるとその意味は「その人ひとりだけで、思いのとおりの振る舞いができるような場面・分野。ひとり舞台。」とあります。
あれってもうかなり普通に使われまくってますけど、間違いなんですよね。
間違いというか間違いから生まれた言葉。
漢字の書き間違いですね。
正しくは独擅場(どくせんじょう)。
「擅」と「壇」の字を間違ったんですね。
しかも「ひとり舞台」の意味がうまく「独壇場」という漢字にはまっちゃってそっちのほうが定着しちゃったんですね。
言葉は生き物。
これは知らなかったので知ったときはちょっと驚き。
豆腐小僧双六道中の中で使われていました。
さすが京極夏彦


京極夏彦氏。
数日でストーリーや大まかなプロットは出来上がるとい彼が、最も時間を使っているのが字面の美しさ、見やすさなのです。
何処で改行するか。
一文はどの長さにするのか。
何処でどの漢字を使うか。
そういったことに凄く時間を使っているそうです。
日本語は美しい、と彼は常々語っています。
また、文章がページをまたぐことにならないようにもしています。
例えばノベルス版から新書版、または文庫版にするときにページネイションを全て変えたりします。
「文庫版 ○○」とか書いてあるものとかはそうです。
そう書いてないものは変えてないようです。
京極堂シリーズは文庫化の際に変更されているようですね。
ルー・ガルーやどすこいもそうですね。
どすこいはタイトルが変わっちゃってますね。
反対に巷説シリーズや嗤う伊右衛門などは違います。
そのままです。


小説はもちろ文章で魅せるものですが、それ以外にも細かい配慮によってより完成度の高いものが出来上がるのでしょう。
意図的な改行に地面全体が一つの作品となり物語となる。
元々デザイン会社を経営していた彼だからこそ、なのかも知れません。
彼の日本語へのこだわり、またその様な考え方は見習うところが多くあると思います。
まさに職人芸、でしょう。
正しい日本語を何が何でも使え、などど鯱ばった事を言うつもりはありません。
ただ、TPOにあわせた言葉遣いくらいはしっかり覚えてもらいたいし、覚えたいですね。
日本人として、人として。
美しい言葉を持つ国に生まれたことを誇りに思いましょう。